AI 画像生成ツール比較 — 壁紙づくりで、作った画像を何に使えるか
壁紙づくりのツール選びで最初に見るべきなのは、画質でも操作性でもなく、作った画像を何に使えると規約に書いてあるかです。自分の iPhone に設定するだけなら困らなくても、人に配る、SNS に載せる、となった途端に差が出ます。この表は各社の利用規約を実際に開いて、該当する条文を引用したものです。要約ではなく条文を載せているのは、要約には誤りがあるからです。実際、二次情報では「Canva は有料プランだけ商用可」と書かれていましたが、Canva の規約本文にそのような区別はありませんでした。
規約は改定されます。この表の確認日は 2026-09-03 です。使う前に、各社のページで最新の文言を確かめてください。このページは条文の整理であって、法律の助言ではありません。
比較表
| ツール | 生成物の所有権 | 商用利用 | 配ってよいか | AI 生成の表示・来歴 |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT(OpenAI) | 利用者が所有する。OpenAI は権利を譲渡する | 制限の条文なし | 明示の条文なし | 日本向けの規約で「人が作り出したものと表示すること」を禁止。公開時は AI の役割を開示 |
| Midjourney | 利用者が所有する。年商の大きい会社は上位プランが条件 | 可(上の条件つき) | 生成物の再配布は利用者の責任で判断。禁じられているのはサービス自体の再配布 | 既定で生成物が公開され、他の利用者が使える。Midjourney 側にも広い利用許諾を与える |
| Canva | 利用者が所有する。ただし Canva の素材を組み込んだ部分は除く | 適法な目的なら可 | 明示の条文なし | 人が作ったと誤認させることと、C2PA などの来歴メタデータの除去を禁止 |
| Ideogram | 利用者に権利を譲渡する | 可 | 明示の条文なし。公開設定の作品は他の利用者が使える | 条文を確認できず |
| Recraft(無料プラン) | Recraft が所有する | 不可 | 不可(売る・許諾する・譲渡することを禁止) | 条文を確認できず |
| Recraft(有料プラン) | 利用者が所有する。著作権を譲渡する | 可 | 明示の条文なし | 条文を確認できず |
| Google(Gemini API) | Google は所有権を主張しない | 開発者向けの規約。欧州向けには有料サービスの条件あり。日本向けの版は未確認 | 共有した先での利用も利用者の責任 | 人だけが作ったと偽ることを禁止 |
| Microsoft(Copilot) | Microsoft は所有権を主張しない。権利があるかの判断は利用者に委ねる | 明示の条文なし | 明示の条文なし | 来歴情報(content credentials)を除去・改変・隠す目的での利用と、AI 生成かどうかを誤認させる目的での生成を禁止 |
| Adobe(Firefly) | この調査では確認せず | この調査では確認せず | 明示の条文なし | Content Credentials の除去・改変・無効化を禁止 |
| Stability AI | 利用者が所有する | 年商が一定額未満なら無償の許諾。超えると別契約 | 明示の条文なし | 条文を確認できず |
| Black Forest Labs(FLUX) | 所有権を主張しない | 自分の目的で可。サービス自体の商用利用は制限 | 明示の条文なし | 条文を確認できず |
| Krea | 利用者の権利は残る | 一部の生成物で許可されうる | 再配布したものは、要求があれば速やかに削除できる状態が条件 | 条文を確認できず |
| Leonardo.Ai | 規約本文に到達できず(ログインの背後にある)。未確認 | |||
| Freepik | 規約ページを開けず。未確認 | |||
「明示の条文なし」は、確認できたページの中に該当する条項が見当たらなかったという意味で、「許可されている」という意味ではありません。
読みどころ
同じサービスでも、プランで権利の所在が反転する
Recraft は無料プランの生成物を Recraft のものとし、商用利用を禁じています。有料プランになると、同じ機能で作った画像の著作権が利用者に譲渡されます。「AI で作ったから自分のもの」という直観が、いちばん分かりやすく崩れる例です。
求められているのは「AI と書け」より「人が描いたと偽るな」
OpenAI の日本向け利用規約は、人が作ったものではない出力を人が作ったものと表示することを禁じ、共有と公開に関するポリシーは AI の役割を読者が見逃さない形で開示することを求めています。Google と Canva も、人だけが作ったと偽ることを禁じています。i-Poster が全作品に使用ツールとプロンプトを書いているのは、この要請をそのまま満たすためです。
Midjourney は「配れる」が、既定で「みんなのもの」にもなる
Midjourney が禁じているのはサービスの再配布で、生成物の再配布は利用者の判断に委ねられています。一方で、既定では生成物が公開され、他の利用者が使ったり作り替えたりできる状態に置かれます。自分だけの1枚を作りたいなら、公開の設定を先に確かめる必要があります。
来歴のメタデータを消してはいけない
Canva は C2PA を含む来歴メタデータの除去を名指しで禁じ、Adobe も Content Credentials の除去を禁じています。生成した画像をリサイズしたり別形式に変換したりすると、このメタデータが落ちることがあります。i-Poster は、配布する画像を生成したままの形で置いているのはそのためです。
ローカルで動くモデルのライセンス
自分のパソコンや iPhone で動かすモデルは、サービスの規約ではなくモデルのライセンスで決まります。
| モデル | ライセンス | 出力の扱い | 壁紙づくりでの位置づけ |
|---|---|---|---|
| FLUX.1 [schnell] | Apache License 2.0 | 商用利用・再配布に量的な制限がない | 条文上の心配がいちばん少ない |
| Stable Diffusion XL | CreativeML Open RAIL++-M | ライセンサーは出力に権利を主張しない。用途の制限あり | いろいろな縦横比で学習されていて、縦長に向く |
| Stable Diffusion 1.5 | CreativeML Open RAIL-M | 同上 | 情報が多い。学習解像度が小さい |
| Stable Diffusion 3.5 | Stability AI Community License | 年商が一定額未満なら無償で商用可。超えると許諾が終了 | 条件つきで可 |
| FLUX.1 [dev] | Non-Commercial License | 条文が自分と矛盾している。 出力の商用利用を許す条項と、モデルが生成したデータの商用利用を禁じる条項が同居 | 配る画像の主力にしない |